残酷人生論 池田晶子 p112~
人を殺してはいけない理由は、決まっている。それが規則だからである。人を殺してはいけないというのは規則だから、その規則に反することは、いけないことなのである。すると人は言うだろう。規則や法律はそれ自体相対的なものだ、そのような相対性によることなく、殺人は絶対にいけないとなぜ言えるのか。規則以前に、殺人が絶対にいけない理由など、あるわけがない。それは、日本の道路では車が左側を走らなければいけないというのが規則であるのと同じで、そこに理由などないのである。そのことについて「なぜ」を問うことは、論理的にできないのである。
しかし、車は左側を走らなければいけないという規則よりも、人を殺してはいけないという規則のほうが、何かが我々の内心に本質的であると我々は感じる。そこには、現象的には、他人の苦痛は苦痛であるとか、殺された人は失われる、とかの心理的な理由があるだろう。人々のそのような一般的な心理の歴史が、この規則を規則として機能させていると言える。けれども、他人の苦痛が快楽である、殺人が快楽であるという人間が時々出現するものだから、相対的な規則以前の、絶対的な理由を何とか見い出したいと、人は欲するのだ。
けれども、残念なことに、そんなものはないのである。殺人が快楽の人は殺人が快楽なのだから、彼の心理は一般の我々とはまったく違うのだから、これはもうどうしようもない。彼がそれをいけないと思うのは、規則だからいけないと思うにすぎず、そうでなければ彼はそれを隠蔽しようとさえしないはずである。
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残酷人生論 単行本 – 2010/11/13
池田 晶子
(著)
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あなたは、まだ知らないのか?2010年代を生き抜くヒント。「14歳の君へ」の池田晶子、魂の一冊がよみがえる!
旧著の絶版により、長らく入手できなかった『残酷人生論 あるいは新世紀オラクル』が、ハンディな装いも新たに増補新版として登場します。
雑誌「Ronza」に「新世紀オラクル」のタイトルで連載した作品をベースとする旧著の内容を網羅し、旧著に未収録の関連作品一篇を加え、連載時の著者の雰囲気が伝わるよう全体を再構成した新版です。
刊行に際し、新たに「池田晶子・著作案内」と著者略歴を付しました。
この一冊は、のちの『14歳からの哲学』『14歳の君へ』などに連なる、著者にとって思い出の深い作品です。はじめてこの作品に出会われる方はもちろん、旧著を読まれている方も、新しい印象とさまざまな驚きを、そこに発見することでしょう。
「わかる」力は、愛である、知識と情報、私、自由と善悪、神と宗教、死、魂、そして、幸福という能力について――。
「大人のための哲学」を語る、魂の一冊。 どうぞ、お読みください。
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- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社毎日新聞社
- 発売日2010/11/13
- 寸法11.7 x 1.5 x 17.3 cm
- ISBN-104620320226
- ISBN-13978-4620320229
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登録情報
- 出版社 : 毎日新聞社 (2010/11/13)
- 発売日 : 2010/11/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4620320226
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- - 418位哲学・思想の論文・評論・講演集
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- - 51,926位文学・評論 (本)
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著者について
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1960年(昭和35年)8月21日、東京生まれ。1983年(昭和58年)3月、慶應義塾大学文学部哲学科倫理学専攻を卒業。文筆家と自称する。池田某とも。「哲学エッセイ」を確立して、多くの読者を得る。2007年(平成19年)2月23日死去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『事象そのものへ!』(ISBN-10:4901510789)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2015年11月16日に日本でレビュー済み
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道徳を生きる「いい子」のあなた。
どこかに息苦しさを感じていませんか?
この本には、「道徳から自由になり、倫理的に生きる事の大切さ。」が繰り返し書かれていました。
本当に残酷な人生とは、道徳的(偽善的)に生きる事である。
そして、もっと残酷な人生とは、道徳の背後に潜む悪を暴いたつもりになって偽悪を演じる事だ。
生きるとは、そうではないのだ。
生きること(存在)の神秘を感じる。
そういう内的な直観(倫理)を楽しむ。
それが我々の本質的な喜びなのである。
この本には元気をもらえるエッセイが、読みやすく1テーマにつき3~4ページ区切りほどで書かれています。
内容はとても難しく感じたのですが、時間をかけてゆっくり読むと池田晶子の世界に引き込まれる感じがして、心地良さを感じました。
是非皆さんにおすすめしたいと思いましたので、レビューさせていただきました。
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本当に残酷な人生とは、道徳的(偽善的)に生きる事である。
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生きるとは、そうではないのだ。
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この本には元気をもらえるエッセイが、読みやすく1テーマにつき3~4ページ区切りほどで書かれています。
内容はとても難しく感じたのですが、時間をかけてゆっくり読むと池田晶子の世界に引き込まれる感じがして、心地良さを感じました。
是非皆さんにおすすめしたいと思いましたので、レビューさせていただきました。
2020年1月6日に日本でレビュー済み
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っていうのは眠れない午前2時に読み始めたことによる脳の勘違いか、自分がそもそもずっと勘違いして生きている個体なのか。
わかる・わからないは自分の行為ではない。わかるときはわかるし、わからないときはわからない
基本的な問いである私とは何か、どう生きるべきか、生きるとは・死ぬとは、そういった疑問についてわからないということを、多くの人は考えずに生きているようだが、考えると泥沼だから敢えて考えないようにしているのか、わかったつもりになっているのか(←こちらの方がより悪質)、いずれにせよその問題を避けてよくお前らよく平気な顔して生きてられるな、っていう著者の苛立ちに共感する。
けど自分が著者と決定的に違うのは、考えることはそれほど重要ではない、むしろ不要であるという考えに至ったということである。著者は2007年に今の自分と同じ年で死んでいるから、ここから先、生きてる限り、経験することは自分の方が多いね。
考えは誰のものでもない(マネできる程度のことは個性ではない)→考えは全人類共通の意識なのか。
わかる・わからないは自分の行為ではない。わかるときはわかるし、わからないときはわからない
基本的な問いである私とは何か、どう生きるべきか、生きるとは・死ぬとは、そういった疑問についてわからないということを、多くの人は考えずに生きているようだが、考えると泥沼だから敢えて考えないようにしているのか、わかったつもりになっているのか(←こちらの方がより悪質)、いずれにせよその問題を避けてよくお前らよく平気な顔して生きてられるな、っていう著者の苛立ちに共感する。
けど自分が著者と決定的に違うのは、考えることはそれほど重要ではない、むしろ不要であるという考えに至ったということである。著者は2007年に今の自分と同じ年で死んでいるから、ここから先、生きてる限り、経験することは自分の方が多いね。
考えは誰のものでもない(マネできる程度のことは個性ではない)→考えは全人類共通の意識なのか。
2022年12月27日に日本でレビュー済み
空模様。暇だったので古本屋に行き、自分の年齢よりたぶんもう親が若い子らが行くあてなく文庫を睨んでいた。人を殺して何がわるいのか?もし子供が真剣に聞いてきたらこう答えたかも、母ちゃんは一度ならず死にぞこないました。だから生きてる意味がますますわからなくなりました。毎日わからないから考えてまたわからないからまた考える。
一日そうしたらお腹がすいてきて眠くなります。
君一緒に考えようぜ!
一日そうしたらお腹がすいてきて眠くなります。
君一緒に考えようぜ!
2015年8月18日に日本でレビュー済み
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今日の哲学者というものは、往々にして哲学者ではない。
哲学者の研究をしている人でしかない。
すなわち、何かしらの新しい考え方を提唱しているわけではなく過去の哲学者の思想を解釈して発表しているにすぎないのだ。
しかしながら池田晶子という人物はものの見方に新たな道筋を提唱している。
内容は同意できる部分もそうでない部分もあるが一読する価値はある。
哲学者の研究をしている人でしかない。
すなわち、何かしらの新しい考え方を提唱しているわけではなく過去の哲学者の思想を解釈して発表しているにすぎないのだ。
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内容は同意できる部分もそうでない部分もあるが一読する価値はある。
2015年8月20日に日本でレビュー済み
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著者独特の言い回しに理解しずらい部分は残るものの、そりゃそうだと思える内容がほとんどです。
自分の理屈、社会の理屈が、曖昧模糊とした概念の上に構築されていたことを思い知らされます。ベースがあいまいであれば、まさに自分も社会も砂上の楼閣。
楼閣を崩すスリルを味わってみてください!
まー、どちらも概念でしかなくて、楼閣どころか蜃気楼みたいなものですけどね。
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楼閣を崩すスリルを味わってみてください!
まー、どちらも概念でしかなくて、楼閣どころか蜃気楼みたいなものですけどね。
2015年4月19日に日本でレビュー済み
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とても分かりやすくていい本です。
買って良かったです!うれしい
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2010年11月22日に日本でレビュー済み
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これを裏から言えば、
魂は、認識する宇宙の容器である。
例えばこの本で池田晶子は将棋の羽生名人の天才を考えることを通して、魂のあり方を論じる。天才を天才と知り、その孤独を感知することが出来るのが天才の所以である。天才とは世間では”能力をもったうらやましいヤツ(含むやっかみ)”といったニュアンスを薫燻するが、本来は天が才能(そして其れゆえの孤独を)を与えたこと、あるいは人をまっすぐに示す言葉だ。
読んで思う、池田さんもまさしくそんな一個の魂であったのだと。
表紙と作者紹介ページに何枚か付された池田さんのベストショット、赤い表紙に美しくこちらに問いかける池田さんの写真を配し、透かせた紙で其れを示す。現世から離れられた池田さんがこの世を睥睨しているかのようだ。意匠も素晴らしい新しい衣を纏った、池田さんの核たる考えがじっくりと立ち上る一冊である。
口伝(オラクル)と池田さんはおっしゃる。まさに巫女たる口調で。稀有の方であったことを改めて思う。
魂は、認識する宇宙の容器である。
例えばこの本で池田晶子は将棋の羽生名人の天才を考えることを通して、魂のあり方を論じる。天才を天才と知り、その孤独を感知することが出来るのが天才の所以である。天才とは世間では”能力をもったうらやましいヤツ(含むやっかみ)”といったニュアンスを薫燻するが、本来は天が才能(そして其れゆえの孤独を)を与えたこと、あるいは人をまっすぐに示す言葉だ。
読んで思う、池田さんもまさしくそんな一個の魂であったのだと。
表紙と作者紹介ページに何枚か付された池田さんのベストショット、赤い表紙に美しくこちらに問いかける池田さんの写真を配し、透かせた紙で其れを示す。現世から離れられた池田さんがこの世を睥睨しているかのようだ。意匠も素晴らしい新しい衣を纏った、池田さんの核たる考えがじっくりと立ち上る一冊である。
口伝(オラクル)と池田さんはおっしゃる。まさに巫女たる口調で。稀有の方であったことを改めて思う。